わたしの手帳

日々の思うことや触れたものの感想など、雑多に書きます。鬱病と闘っているので、そのことも書いていきたいです。

白狐魔記 源平の風

白狐魔記は歴史ファンタジー系の児童文学シリーズです。化身や憑依といった妖術を身につけた狐・白狐魔丸が、日本史上の大事件に行き合い、時の英雄たちと関わっていきます。狐の目線で人の世を見つめ「人間はなぜ殺し合うのか」というテーマと向き合います。

 小学校高学年頃からずっと読んでいたシリーズなのですが、2019年末に7年ぶりの新作が出ていました。最新作が読めたので、1巻から順番に読み返してまとめてみます。

 

第1巻『源平の風』

名もない普通の若い狐が白狐魔丸となり、人間と深くかかわるようになってゆく始まりの物語です。主人公は独り立ちしたばかりの若い狐で、人間に興味を持ち、人里近くで暮らすうちに言葉を覚えました。狐は人間たちの話の中で、白駒山には妖術を操る仙人が住んでいると聞き、白駒山を探しに行きます。その道中、武士たちの争いに巻き込まれそうになった狐を助けたのは、今まさに合戦に出ようとする源義経でした。白駒山にたどり着き、修業を積んで妖術を覚えた狐は白狐魔丸という名前を得ました。故郷を見に行こうと山を出た白狐魔丸は、頼朝に追われて落ち延びる義経一行と再会します。

白狐魔丸は源氏と平氏の争う、武士の始まりの時代に生まれました。合戦を見て白狐魔丸は「人間はなぜ殺し合うのか」と疑問に思います。人間の戦はキツネの縄張り争いや相手を食べるための戦いとは違い、そうしなければ生きられないものではないように白狐魔丸には思えるのです。この疑問は続巻にも引き継がれ、シリーズを通したテーマとなっていきます。

初めて読んだときにはまだ源平合戦など歴史のことがよくわかっていなかったのですが、今読み返すと歴史上の有名なシーンがあったりして面白かったです。